2022.05.31
高齢者の孤食が増加?楽しい食事が元気な身体と心をつくる介護を支援する介護ロボットとは?導入するメリット紹介
介護を援助してくれる「介護ロボット」の存在をご存知ですか?
介護ロボットの導入は、介護による体力的・精神的負担を軽減してくれます。
今回は、介護ロボットとは?といったところから、介護ロボットの種類や導入のメリットなどを解説します。
目次
介護ロボットの定義とは
介護ロボットとは、介護する人(介護者)と介護される人(要介護者)を支援するサービスロボットのことです。
そもそもロボットとは「情報を感知(センサー系)、判断し(知能・制御系)、動作する(駆動系)」といった3つの要素技術を有する、知能化した機械システムと定義されています。
上記のロボット技術を応用して、利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器のことを介護ロボットといいます。
介護ロボットは大きく分けて2種類
介護ロボットは既にさまざまな種類が開発されていますが、大きく2つのタイプに分類されます。
ひとつは、介護施設などで介護する人を助けることを目的とした「介護する人をサポートするタイプ」。
もうひとつは、高齢などで介護や支援される人等の日常の活動(歩行・移動)を助けることを目的とした「介護される人を直接サポートするタイプ」です。
介護ロボットを使用する目的や用途に合わせて、それぞれさらに細かく種類が分かれています。
介護ロボットの種類とは?6の分野と13の項目
介護ロボットの開発や普及を促進するため、厚生労働省と経済産業省が特定した6分野13項目を、「ロボット技術の介護利用における重点分野」として定めています。
厚生労働省の介護ロボットの開発・普及の促進の資料をもとに、ご紹介いたします。
移乗支援
移乗支援をする介護ロボットとは、ベッドから車椅子や、車椅子からポータブルトイレなどへの移動(移乗)を楽にする介護用品です。
装着型と非装着型の2項目に分かれています。
装着型は介助者が装着して使用する機器です。
ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行います。
非装着型はロボット技術を用いて、介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行います。
移動支援
移動支援をする介護ロボットとは、移動が困難な人をサポートする介護用品です。
屋外用、屋内用、装着型の3項目に分かれています。
屋外用は、歩行困難な方の外出をサポートする歩行支援機器です。
荷物などを安全に運搬できるロボット技術を用いています。
屋内用は、歩行困難な方の屋内移動や立ち座りをサポートする歩行支援機器です。
特にトイレへの往復や、トイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いています。
装着型は、歩行困難な方に装着して使用する歩行支援機器です。
転倒予防や歩行補助などのロボット技術を用いて外出をサポートします。
排泄支援
排泄支援をする介護ロボットとは、排泄の自立を援助する介護用品です。
排泄物処理型、トイレ誘導型、動作支援型の3項目があります。
排泄物処理型は、排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置調節可能なトイレです。
トイレ誘導型は、ロボット技術を用いて排泄するタイミングを予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する排泄支援機器です。
動作支援型は、ロボット技術を用いて、トイレ内の下衣の着脱などの排泄の一連の動作を支援します。
見守り・コミュニケーション
見守り・コミュニケーションをする介護ロボットとは、高齢者の見守りや行動の促進への活用ができるコミュニケーションロボットです。
施設型、在宅型、生活支援型の3項目があります。
施設型は介護施設に導入されることを想定して開発されています。
センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームです。
在宅型は、在宅介護において使用することを想定して開発されています。
転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームです。
生活支援型は、高齢者とのコミュニケーションにロボット技術を用いた機器です。
入浴支援
入浴支援をする介護ロボットとは、自力で入浴することが困難な方の入浴を援助する介護用品です。
ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援します。
介護業務支援
介護業務支援をする介護ロボットは、介護する側をサポートする機器です。
ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者などの必要な支援に活用することを可能とします。
なぜ介護ロボットが導入され始めたのか
現在の日本は人口減少の時期を迎えており、少子化と高齢化が同時進行しています。
実際に財務省が発表している「日本の財政を考える」参考資料1 日本の少子高齢化はどのように進んでいるのかの図表が以下です。
2021年の時点で、総人口の減少、高齢者の増加が見られます。
2021年以降の推定では、総人口・20〜64歳人口が減少しているのに対して、65歳以上人口はほぼ横ばいで推移すると予想されており、高齢化率が約10%増加すると見込まれています。
高齢化の影響で、介護施設や家族など多数の介護者による支援が必要となります。
しかし少子化によって20〜64歳人口が減少しているため、介護者の人手不足が心配されます。
そのため介護を支援する「介護ロボット」が導入されるようになったのです。
介護ロボットを導入するメリット
介護ロボットを導入することは、介護者と要介護者の両方にメリットがあります。
まず、介護者にとっての大きなメリットは、身体的負担・精神的負担を軽減してくれることです。
介護は中腰での作業や力仕事が多いため、腰を悪くしたり体力面での負担が大きかったりします。
また、日中は基本的に付きっきり、夜も不測の事態が起きないかなどの心配で、気が休まる時間があまりありません。
慣れない介護でストレスも溜まるでしょう。
介護ロボットの導入によって、力仕事の手助けや見守り機能によるサポートがあるので体力面・精神面の負担が減ります。
作業も効率化されて、直接的な介護の時間の短縮にもなります。
そしてロボットが見守ってくれたり、管理してくれたり、助けてくれることで、要介護者の精神状態が安定することも大きなメリットです。
極力自立した生活を送ることができたり、介護者への申し訳無さや不満が減ったり、安眠につながったりするため、要介護者の生活への不安や不満が改善されるでしょう。
このように、介護ロボットの導入は、介護者と要介護者にとってのメリットがあります。
要介護者やその家族の精神的・時間的な余裕が生まれることで、それぞれの生活の質の向上にも繋がるでしょう。
【まとめ】介護ロボットの現状
介護ロボットによる支援は、介護現場において大きなメリットを生むでしょう。
少子高齢化が問題視されている日本では、重要視される存在となりそうです。
しかし現状介護ロボットの普及率は低く、厚生労働省が2017年に調査した「介護労働実態調査」によると、全体の約75%の介護施設・事業所が介護ロボットを導入していないことがわかりました。
多くの介護者や要介護者の負担を減らすためにも、導入・普及に向けての改善がまだまだ必要なようです。
監修者情報
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